2011年間ベスト

アルバム

次点5枚

  • Frank Ocean / Nostalgia,Ultra
  • S.L.A.C.K. / 我時想う愛
  • Alva Noto / Univrs
  • Elzhi / Elmatic
  • Mark McGuire / Get Lost

オッと思った順。今年は、旧譜ではジャズとテクノ・ハウスに熱中していて、新譜はアイドルと日本のロック・ヒップホップ、それにフリーDLのMIXTAPEなんかを主に買っていた(落としていた)気がします。とはいえそう簡単に耳を切り替える事など出来ず、また僕自身、興味が様々な方向に拡散するタイプの人間なので色々な欲求を同時に満たしてくれると思わせる折衷的な音楽をよく聞いていました。以下一言二言。

今年は上半期にポスト・ダブステップというムーブメントが活発だったようで、Jamie XXとGil Scott Heronのコラボ作やらMount Kimbieやら面白い作品がボコボコ出てたのですが中でもJames Blakeは年間通してじわじわと聴き続けてしまいました。御多分にもれずCMYK路線の方が当初は好きだったのですがこれはブルー・アイド・ソウルの別アプローチなのではないかという解釈をすると自分の中でしっくり来たのです。僕の解釈はともかく、そうした様々な切り口から語れる懐の深さをたたえるアルバムではないでしょうか。ムーブメントという大きなところには縁遠そうですがグラスゴーのRustieはまあHudson Mohawkeとはいえ、一曲一曲ポップにまとまっていて繰り返し聞くのが疲れない機能性の高さが気に入ってます。
ムーブメントより大きな影響を今後与えそうな「フリーDLアルバム」という形式でリリースされた作品が、今年はそれこそフリーDL10枚だけで年間ベストも組めそうなくらい充実していて、ありがたかったです。パッと思いつくだけでもClams CasinoやASAP Rocky、それにOFWGKTAの諸作品はこれからのHIPHOP絶対面白いと思わせるような何かが迸っている作品だと思います。で、まあフリーだ有料だ関係なくJoblessはドリーミーな音楽の享楽性が「退廃」だけではなく「怠惰」と結びつくことを示していて、怠惰な僕は一時期中毒者の様に聞いてたし、KAKATOは最高に楽しいし、The Weekndは音響ソウルフルで驚きに満ちてるしMain Attrakionzはクラウドラップの一つのメルクマールを提示してくるしでこの4枚とFrank OceanのNostalgia, Ultraなんかの魅力は抗えない素晴らしさがありました。
今年はアイドルばっかり聞いていてさすがPerfume以降だな〜と知った口をききたくなるほど、楽曲毎にいいなあと思わせるアイドルがなかなか多かったのですが、それにしても東京女子流の鼓動の秘密は群を抜いた楽曲・そしてアルバム単位での完成度には舌を巻きました。年間一位です、余裕の。彼女らはライブもここはパラダイス・ガレージか?と思わせる祝祭感と5人の震えるほどの、もはやネクストステージに達したかわいらしさが混ざり合わさって唯一無二のステージングになっていると思います。
邦楽はやたらと震災以降を押し付ける人たちが多い中、肩の力が抜けた、というか抜けすぎてこれは大丈夫なんだろうか、不気味だなあと思わせるような、身体の隅まで染みこむイキフンの"幻とのつきあい方"とS.L.A.C.K.と共通する、やり切れなさをそれでも生きる力強さを持つ前野健太の"ファックミー"はまだまだフォークもロックも時代を語りうるかけがえの無さがあるなあと思わせるものでした。山本精一のノイジーなギターが復活しているだけじゃない羅針盤的なところがたまらない"ラプソディア"も大好き。



シングル

オッと思った順。シングルとなると基本的にアルバムというフォーマットを取らない事が多いジャンルに集中してしまいますね・・・。アイドルとかアニソンなんかその極みだと思うのですがそういったジャンルでエバーグリーンの名曲が出てしまうとアルバムが出ない前提ゆえのレア感があってなんかイイです。

ポストアイドル戦国時代を迎えてもうグダグダとなって来ている感もあるアイドルシーン(恥ずかしい言い回し・・・)ですが、そうしたグダグダこそが色々な人(自分含む)に受入れられている証拠なんじゃないでしょうか。そして、そうした飽和状態の中で一歩踏み出す為に最もわかりやすいのが楽曲そのものが持つ魅力なわけで、というかそうあって欲しいのですが、来年以降も楽しみなジャンルだと思います。トマパイの楽曲について今更どうこう言うのも野暮ですがそれにしても"ワナダンス!"ですよね。元ネタのモロな感じ含めて言うことないです。ダンスミュージックとアイドルポップスの最も幸福な瞬間でしょう。"ミライボウル"はNARASAKIの味付け程度のダンスフレイヴァ+アシッド展開が好みなのですが、それはさておいてこの曲も今年なんですよねー、なんだかすごく昔のことのよう。対してもうポップスっていうかダンスミュージックの延長線上にあるのでは?とふかしたくなるのが女子流のLaなんですが、もう新路線にして大正解と声を大にして言いたい。紆余曲折を経てここに至ったのか、それとも未だ試行錯誤の過程なのか。たとえ後者であるとしてもこのダークでアダルトなロウティーン・ダンスポップス路線で一枚アルバムを作っていただきたいです。
AKB関連は山のような「それほどでもない曲」の中に「結構いい曲」があるだけでとてもテンションが上がってしまいがちですが、DiVAの"No Way Out"とNot yetの"週末Not yet"はそういった色眼鏡なしでイントロから泣きながら踊り崩れてしまう素晴らしい曲でした。
アニソン、と言えるのか。やくしまるえつこメトロオーケストラとエリオをかまってちゃんは飛び抜けてよかったです、特に後者はロックだアニメだなんていう境界がものすごくフラットになってきているのを提示してくれるとても試み自体がスゴク面白かったです。変なタイアップよりよっぽどアニメソングしてる。





えー、こんなところでしょうか。まだ買えてないアルバムもいろいろあるのですが、釘は熱いうちに打てという言葉のとおり流行りに乗っかって年間ベストなどはやってしまうべきでしょう。今回は割りと気取りとかそういうの一切なく(これはアイドルソングを入れる入れない、よりもインディーな盤をどれだけ・何を入れるかという辺りでの方が自意識に悩まされる気がします)よく聞いたり、おもしろいなと思ったものを入れられたと思います。とりあえず少なくともここに挙げたアルバムやシングルは自信を持って薦めたい次第です。そんな感じで。