年間ベストトラック2013

後ほどやる予定の年間ベストアルバムに収録された曲は除いてとりあえず20曲。今年はいい曲が多かったのでその中でどれだけ今の自分の感覚にしっくり来るかって感じで選びました。

20. 住所不定無職 / IN DA GOLD,
http://www.youtube.com/watch?v=kLAqIv1F1uY

19. Joey Anderson / Come Behind The Tree
http://www.youtube.com/watch?v=tM_xQpRo0Mg

18. RIP SLYME / SLY
http://www.youtube.com/watch?v=JoAmZ41Z-f4

17. A$AP Ferg / Shabba
http://www.youtube.com/watch?v=iXZxipry6kE

16. Sky Ferreira / I Blame Myself
http://www.youtube.com/watch?v=yleXykJyXbo

15. 岡村靖幸 / ビバナミダ
http://www.youtube.com/watch?v=hR5Pa6jxOSY

14. Tyler, The Creator / Treehome95
http://www.youtube.com/watch?v=1L0rgIYnkjU

13. lyrical school / わらって.net
(動画なかったです)

12. Burial / Rival Dealer
http://www.youtube.com/watch?v=xd3Ch53PxBs

11. PUNPEE / Bad habit

10. 大森靖子 / ミッドナイト清純異性交遊

プロデューサーの直枝政広大森靖子のポップな歌メロを作る才能が調和した素晴らしくポップなキラーチューンである。同時に、ひねくれた精神で自意識に囚われながら歌を吐き出す彼女のありかたにはとても心を動かされた。今の彼女に対してサブカル/こじらせというレッテル貼りをして終わらせるのはあまりに耳と心が閉じていると思うし、もはやそうした目線は跳ね除ける、先回りした強度がここには詰められている。

9. Osamu Ansai / Woman
https://soundcloud.com/maltine-record/osamu-ansai-woman
Natalie Cole”I Wanna Be That Woman”を綺羅びやかで突き抜けた気持ちの良いディスコへと鮮やかに変換。控えめに言っても今年の夏一番聞いた。


8. FKA twigs / Water Me

クラウドラップを経由しつつ、ノイズ・ドローンに通底する仄暗さに包まれたR&B。MVが怖すぎ。


7. Oneohtrix Point Never / Still Life

ヒプノティックで美しい。これもMVが怖すぎ。


6. Tessela / Nancy's Pantry

ジャングルのエッセンスをまるで『EP7』期のオウテカのように分解/再構築することで、素晴らしく今日的なレイヴ・サウンドを披露。


5. DJ Koze / Magical Boy

まろやかなキックとメロウなシンセ、琴線を刺激するソウルフルなボーカルは清潔で晴れやかな感覚をもたらすが、決して抗菌されているわけではなく、むしろ猥雑な夜を飲み込むおおらかさがある。夜明けとともにクラブで聞きたい。


4. 豊田道倫 / 少年はパンを買いに行く

ポップなアレンジなんだけど、呆れるほどひねくれててすすけた感じがいい。

3. Justin Timberlake / Suit & Tie

『The 20/20 Experience』でティンバーレイクは時代錯誤なほど綺羅びやかなポップを展開することでゴージャスなオールド・スクール・スターの意匠を身に付けているが、その一方で彼は、ブラック・ポップの伝統と現代的なサウンドを同居させることをもって批評家からの信頼も勝ち取ろうとする野心家だ。スクリュー・ヒップホップを70年代ソウルの雛形に染み込ませたヴィンテージながらも先鋭的なトラックの上で帝王と渡り合う”Suit & Tie”ではドレイクやウィーケンドの内省をするりと飛び越え、いともたやすく確固たるスターのカリスマを見せつける。


2. 曽我部恵一 / 汚染水

速射砲のように吐き捨てられて意味を失った言葉が『Eclectic』期の小沢健二のような豊穣なファンク・ビートと合わさることでフックのスウィートなメロディとリリックを際立たせる。この批評精神がスマートに成功しているかどうかはともかく、ラブソングとして珠玉の出来だと思う。


1. 乃木坂46 / 君の名は希望

君の名は希望』をはじめて聞いた時、山下敦弘によるその見事なMVをはじめて観た時、ライブにおいてパフォーマンスを観た時、僕は過剰な情報で息苦しい世の中において、あたかもささやかな理由のためだけに捧げられたかのような、端正で洗練された手触りを持ったこの曲だけが、唯一自分のセンチメンタリズムの置所となるかのように思えたものだった。不思議なことにこの感覚は、こうした曲を乃木坂46が作れなくなってしまった今の方が強く感じられる。ポップ・ミュージックとしての寿命が過ぎ、誰もこの曲を省みなくなったとしても、僕はかつて素晴らしかったグループの、美しかった姿を忘れないように聞き続けようと思う。